関係代名詞のWhichとThat
thatは制限用法において使用が推奨される
whichは非制限用法でコンマ付きで使用される
関係代名詞のwhichとthatは、機能的にも、日本語への翻訳のやり方もほぼ同様だと、そのように教えられた方も多いはずです。
しかし、関係代名詞のwhichとthatは必ずしも交換可能なわけではありません。いずれか一方のみが使われるケースを見てみましょう。
一番分かりやすい違いは、人と事物のいずれもが先行詞になりうるのがthatであるのに対し、人はwhichの先行詞にはならないということです。関係代名詞thatが使われている文を、関係代名詞を変えて言い換える場合、先行詞が人であれば
whichではなく、who/whomを文脈に応じて使わなければならないということです。
先行詞が最上級や唯一性を表す形容詞で形容されている場合はwhichではなく通常thatが使われます。
Thatを使った文とwhichを使った文で、明確に意味に違いが生まれるもあります。
冒頭の2文は、
①カンマなしで先行詞の後に「that」が置かれる用法
②先行詞の後に「, which」が置かれ、関係代名詞節の後にその文が続く場合には関係代名詞の後にもカンマが打たれる用法
ですが、両者の違いは、関係代名詞節(形容詞節)が、修飾する先行詞を限定するか否かということです。
(限定する使い方は「関係代名詞の制限用法」、限定しない使い方は「関係代名詞の非制限用法」などと呼ばれます。)
まず、最初の用法(制限用法)を見てみましょう。
この文は、複数の家の中でも特に「広い裏庭のある家」が売りに出されているということを意味します。「近所の家の中でも“例の”広い裏庭の家」といったニュアンスで、関係代名詞節が限定する形で先行詞を修飾しています。
同様の用法の文例を挙げてみましょう。
この「関係代名詞の制限用法」に対して、whichで始まる関係代名詞節をカンマで区切って使用する用法(非制限用法)では、関係代名詞節が先行詞を限定や特定する形で修飾するわけではなく、先行詞に関する付加情報が関係代名詞節で示されます。
では、冒頭の文例に戻りましょう。
制限用法では、売りに出されているのがどの家であるかを特定するために関係代名詞節が機能しますが、ここでは、その家についての情報が加えられているだけです。2文に分けても、伝えられる情報はほぼ同様でしょう。
The house is up for sale. It has a big backyard.
さらに例を挙げます。
関係代名詞のwhichとthatですが、アメリカ英語の場合、制限用法ではthatの使用が推奨されます。一方、イギリス英語では、制限用法でもwhichが好まれる傾向があります。
論文英語では曖昧さの回避が不可欠です。
そのため、関係代名詞節が先行詞を限定する「制限用法」の場合はthatを使用し、関係代名詞節が付加情報を伝える「非制限用法」の場合は節をコンマで区切ってwhichを使用する、という、ルールへの徹底した準拠が求められます。