【2025年版】研究者にお勧めのAIツール6選

【2025年版】研究者にお勧めのAIツール6選

研究者たちは計り知れない時間を研究や論文の執筆に費やしてきました。インターネットやAI技術の発展により、入手し、発信できる情報量は劇的に増大しましたが、旧来の方法では、当然のことながら情報の処理に掛かる時間も膨らんでしまいます。

しかし幸いにして現在では学術系の情報を上手く処理するためのツールも数多く登場しています。今後、研究者が膨大な情報を選別し、整理しながら、読者の興味を掻き立てる良質な論文や報告書を書くためには、そうしたツールの中から自身にとって役立つものを選び出して活用することも必要になってくるでしょう。この記事では、研究や論文執筆のプロセスの負担を軽減させ、作業効率を高めるために役立つ6つのAIツールについて概説します。

※本記事の内容は、2025年3月に実施した独自調査に基づいています。

Trinka

AI英文校正ツールTrinkaは、英語論文・テクニカルライティングの校正用に開発された、 AI搭載のライティングアシスタントツールです。Trinkaは、単なるスペルチェッカーではなく、アカデミックな文章に特化した校正を行うように設計されているため、通常のスペルチェッカーや文法チェッカーでは検出しきれない、技術的・科学的な文章にありがちなミスを見つけ出すことができます。また、文章のトーンや表現に関する修正提案も示され、学術論文執筆の際には、指定したスタイルガイドに準拠した英文校閲を行うこと可能です。Trinkaは幅広い学術分野に対応しており、医学や工学を専門とする研究者や学生だけでなく、経済学やビジネス、社会科学分野を専攻する人々にも利用されています。

[搭載機能]

英文チェック、剽窃チェック、パラフレーズ、引用チェック、AI生成コンテンツ検出、フォーマット調整

Enago Read

Enago Read(エナゴ リード)は、文献レビューのプロセスをスピードアップするAIアシスタントで、要約や重要なポイントを抽出し、研究者が文献の読み込みに費やす時間を短縮します。高度なAI技術とCopilot機能により、リアルタイムの質問にも対応。各文献への理解を深めます。

関連論文の検索や、チーム単位の共同作業、議論、知識共有などの機能もあり、複数のプロジェクトの管理も行えます。

 [搭載機能]

文献検索、関連情報収集、パーソナライズされた文献提案、文献の要約作成、類似アイデアの紐づけ、協働ワークスペースの開設、AI搭載チャット機能

Scholarcy

Scholarcyは、AIを活用して学術論文を要約し、読者にとって重要な部分をまとめるツールで、研究者が自分の研究に関連する論文かどうかを迅速に判断できるようにするものです。対象論文の重要な用語やテキストをハイライトし、論文のポイントを自動的に表示できます。論文のサマリー作成やリライトをどのように行うかの条件は細かくカスタマイズでき、論文で引用されている参考文献の場所も個別に検索することなく表示されます。サマリーは.docxや.xlsxなどのほか、Zoteroなどの文献管理ソフトで使える.ris形式でダウンロードできるため、文献情報の管理が効率化します。また、グループでの使用や他のAIツールとの連携も可能です。

 [搭載機能]

背景理解に役立つ文献リストの提案、重要箇所の自動ハイライト、サマリー自動作成、引用チェック、図表のエクスポート

Semantic Scholar

Semantic Scholarは、米国のアレン人工知能研究所(AI2)による無料の学術文献検索サービスです。AIを組み込むことで、従来のツールよりも高度な情報の検索を実現しています。AIによる引用文献の分類が特長で、意味やつながりを抽出して(citation network またはcitation graphと称される)として整理します。引用ネットワークとは、論文を丸(点)で表し、論文同士の引用関係(研究の背景、方法、結果など)を線で結んで論文の引用関係を表わす図で、研究者や論文のつながりの影響を可視化するものです。 Semantic Scholarの引用ネットワークでは、頻繁に引用される論文の中でも出典として簡単に引用しただけの論文と、「重要な引用(Highly Influential Citation)」を区別しており、研究への関連性が高く、読むべき文献を判断できるようにしています。また、論文を2行程度に要約する機能(TLDR機能)も、文献を素早くピックアップする上で役立ちます。

Semantic Scholarは、学術雑誌(ジャーナル)や学術データベースとの提携を増やして論文データベースを拡張させており、検索可能な論文数は増え続けています。各文献のページでは、その文献の図表やグラフ、画像なども抽出されて表示され、参考文献、被引用文献、関連文献も一覧表示されます。影響を受けた論文に基づいてお勧めの論文を提示するResearch Feedsという機能もあります。

[搭載機能]

文献検索、関連性の高い引用文献の特定、文献管理

Paper Digest

Paper Digestでは、研究分野を指定することで、その分野の主要文献の文献レビューの生成が可能なほか、arXivやBioRxivといったプレプリントサーバーなどで公開されたものの中から指定した条件に該当する論文を短い要約付きでリストアップするデイリーダイジェスト機能があり、日々活用することで、特定の研究分野とその周辺領域の最新研究を効率的にキャッチアップすることができます。このほかにもAIによるライティングの支援などの機能もあります。

[搭載機能]

レビュー、要約作成、ライティング支援、AI搭載チャット機能

Scite

インターネットを介して、世界中の膨大な科学研究の情報が得られるようになりました。しかしその反面、情報の氾濫によって、研究者たちが新しい動向を把握し、最も適切でタイムリーな科学論文を見つけることも困難になっています。こうした問題を解決するために構築されたのがSciteです。Sciteは、Smart Citationsと呼ばれるシステムを採用し、論文の引用回数による評価だけでなく、論文がどのような文脈でどのように引用されたかという情報をユーザーに表示することで、研究者が論文の質を判断し、より適切な論文を参照できるようにするものです。たとえば、その論文の論点を支持するための引用なのか反論のための引用なのか、あるいは、その論文が他の論文で何回言及されたかといった情報が提供されます。

Sciteでは、論文の中で他の論文に引用された箇所をスニペット(snippet)として表示することができ、研究の重要なポイントを素早く把握できます。さらに、引用される可能性が高いと判断した新しい論文についての情報をメール送信するアラートサービスや、ジャーナルがどのような論文を掲載しているかを把握するためのサービスも提供しています。

[搭載機能]

文献レビュー作成支援、引用文献選択の支援、引用文献リスト作成

どのような専門分野であっても、適切なAIツールを上手に活用すれば、研究や論文執筆の作業負荷の軽減や効率化が可能になるでしょう。関連情報や論文の検索、引用文献の管理、執筆と校正などの作業の中で自動化できる部分があれば、より多くの時間と労力を、研究の本質的な部分に注ぎ込むことができるでしょう。

【2025年版】研究者にお勧めのAIツール比較表

ツール 無料版でできる主なこと(限度) 有償版料金
Trinka 英文法 チェック(1か月5000単語まで)

パラフレーズ(1か月5000単語まで)

盗用・剽窃スコア 算出(月1回まで)

 

【プレミアム】

月払い=月当たり20ドル

年払い=月当たり6.67ドル

【プレミアムプラス】

年払い125ドル

Enago Read Enago Read Copilotへの質問(1か月10回まで)

要約生成(1か月10回まで)

論文のキーポイント提示(1か月10回まで)

【プレミアム】

月払い=月当たり6ドル

年払い=月当たり3ドル

【プレミアム+Copilot】

月払い=月当たり8ドル

年払い=月当たり4ドル

Scholarcy 要約生成(合計3本まで) 月額9.99ドル/年額90ドル
Semantic Scholar(無料) 学術文献検索

参考文献、被引用文献、関連文献の一覧表示等

Paper Digest レビュー(1日5回まで)

リライト(1日10回まで)

質問(1日10回まで)

月払い=月当たり10.99ドル

半年払い=月当たり7.99ドル

年払い=月当たり6.99ドル

Scite 7日間のトライアル期間は全機能利用可。

トライアル終了後、無料で利用可能な機能なし。

月払い=月当たり1,631円

年払い=月当たり979円

※全世界共通の料金設定を廃止

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